私の母は今から約45年前に、亡くなった。
新しい家を建てて、わずか1年後のことだった。
葬式に集まった親族の中には、
「この家が良くないんじゃないか。水場、玄関、床の間、全部間違っている。家相が悪い。よくこんな家、建てたな」
と言う人がいた。
確かに、今思うと、北東の「鬼門(きもん)」に風呂やトイレがある家だった。
風水の中でも、最も良くないこと。一番やってはいけないこと。それをやってしまった母は、その家に1年と住めないまま、他界した。
風水や家相を信じようとしない人たち
「そんなの迷信!言いがかり。親戚といえども、なんて失礼な人たちなの」
と激怒したのは、母の妹である叔母。
いろいろと事情があり、母が建てた家にはその後、この叔母家族が住むことになった。
「家相が悪い。水場が最悪」
と言った親戚は、私の父方の親戚。細かく言うと、父の妹の結婚相手のSさんだ。
母方、父方、叔父や叔母は沢山いるが、多くの親戚の中でも一番、商売がうまくいっていて、親族の中の一番のお金持ちがSさんだ。
Sさんは家相学だけでなく、吉日・吉方位など、一般的には「迷信」や「占い」と言われる縁起にうるさかった。
「この家に住み続けるなら、縁起のいい間取りにリフォームしてから住んだほうがいい。風呂場だけでも鬼門から移動しないと」
Sさんのアドバイスを無視して、叔母家族が引き続きその「家相が悪い家」に、そのまま住むことになった。
家相の悪い家でその後に起こったこと
3年後、叔母と子ども二人は家を出ることになった。
叔父がもらい事故に合って、体調を悪くして、働かなくなってしまったことから夫婦仲が悪化し、離婚したのだ。
母の死、叔父の事故、叔母の離婚。Sさんの言う通り、その家では立て続けに不運なことばかり起こった。
叔母の離婚を知ったSさんは、
「だから家相が悪いと、あれほど言ったのに・・・」
と残念がった。
家相が最悪な「呪いの家」で40年後まで続く不幸
それからというもの、母の建てた家は「呪いの家」でしかなかった。
すぐに処分すれば良かったのだが、何故か今度は叔父が「この家と土地は俺のもの」と主張しはじめた。
離婚した叔母と、家に居座った叔父とで「骨肉の争い」が起こって、所有権を争うこと40年。
5年前、叔父が亡くなったことで、なんとその「家相が悪い家」は私が相続することになった。
あんなに自分のものだと主張していた叔母は、
「もう古いし、嫌な思い出しかないから、あんな家いらない」
と言う。
実は、家と土地はずっと、45年前に亡くなった母の名義のまま、誰も相続の手続きをしていなかった。
「私だって、あんな不幸の象徴みたいな家、いらない」
と思ったものの、いろいろと複雑な事情がからまって、私がまずは相続するしかなかったのだ。
呪いの家を相続した私に起こった不幸
家は相続してからわかったが、ほぼ住めない状態だった。
庭には40年の間に叔父が集めたゴミが山積み。
家の中は叔父がメンテナンスしていなかったことから、屋根には穴、穴からの雨漏りで2階の床は抜け落ち、1階の天井は崩落。
隙間風と雨漏りで「人は住めない」という状態だった。
私は一日も早く、その「呪いの家」を売却したかった。
査定した不動産会社の担当者から、
「家屋の価値は0円。更地にするには費用が200万円必要」
と言われた。
さらに、
「まずは伸びた庭木、庭に貯まった不用品、家の中の家財一式、全部処分する費用が70万円」
とも言われた。
恐るべし「呪いの家」。
母、叔母、叔父を不幸のどん底に叩き落としただけでは済まず、子の代(私の事)まで不幸を撒き散らす。
更地にする費用はないので、70万円で片付けをして、「古家付き土地」として売り出した。まったく売れない。1年経っても、2年経っても、まったく。
最初に「家相が悪い」と言ったSさんとは40年のあいだ疎遠になっていたが、さすがに親族の中の成功者なので相談してみた。
「本来、相続するべきじゃなかったな。相続放棄の手続きをやってあげることも出来たのに・・・」
と言われたが、すでに私が相続しておりそれは無理だった。
家も土地も売れないまま年月が経過し、私は固定資産税だけを虚しく払い続けた。それも「もし、家が崩壊したら・・・」という恐怖を日々、感じながら。
固定資産税が6倍の恐怖
さらに恐怖が上乗せされた。
2023年12月の法改正だ。
もしも「倒壊の危険がある「特定空家」」の勧告を受けると、固定資産税が6倍になるという。
屋根に穴が空いて、床や天井が抜け落ちている実家は、「特定空家」になる可能性が高い。「管理不全空家」も増税の対象となった。
「ろ・・・6倍!」
顔面蒼白でニュースを観た。呪いの家はどこまで私を苦しめるのか。
今日崩壊するか、明日崩壊するかというくらい、実家の崩壊は秒読み段階だった。
呑気に買い手を待っているヒマはない。崩壊してからでは、遅いのだ。
結局、実家の土地と家屋は「訳あり物件買取業者」に買い取ってもらうことになった。
家相の悪い家を「買取業者」にお願いした値段
その費用さらに50万円。
片付け70万円、買取50万円。
これだけでもマイナス120万円だが、私が相続した時点で未払だった固定資産税の精算や、相続手続きにかかった司法書士の費用なども含めると、200万円以上のマイナスだった。
これが「家相が悪い家」を建てたことの顛末だ。
占いや風水を信じない。迷信、非科学的と否定することは簡単だけど、これまで私が見てきた中でも、否定するような人はだいたい、不幸になっている。
そして、信じている人は裕福だし、生活が安定している。
家相をまったく無視して家を建てた母はすぐ亡くなったし、その家に居座った叔父も、事故にあったり、その後遺症で悩んだり、離婚したのち亡くなった。
「家相が悪い」
と真っ先に指摘した叔父のSさんは、家業を息子が継承して、孫の代まで安泰である。
私はやっぱり、家相学や風水はないがしろにしてはいけないと思う。
【買取業者の詳細はこちら】
→私が訳あり物件の実家を処分した方法