映画|ロンダ・バーン『ザ・シークレット』ネタバレあらすじ

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 2006年3月に公開された、オーストラリアのテレビプロデューサーの女性・ロンダ・バーン制作の映画「ザ・シークレット」に関する情報です。

 2021年5月現在、「ザ・シークレット」はNetflixで視聴できます。
 Netflixでの配信は終了しました。

目次

映画『ザ・シークレット』とは?

 映画「ザ・シークレット」は、一言で言うとインタビューを集めた映画です。

 映画といっても、これといったストーリーはなく、「約20人のインタビューを集めた低予算のインスピレーション映画」とWikipediaには紹介されています。

 いわゆる「自己啓発セミナーの主催者」や、「モチベ―ショナルスピーカー」と呼ばれる「やる気を引き出すセミナーの講師」の人々が次々と登場し、「成功の秘密」や「幸福な人生をおくる方法」などを伝授します。

 私が最初にこの「ザ・シークレット」の存在を知ったのは、テレビ番組で紹介されていた「ドリームボード」や「ドリームノート」がきっかけでした。

 女優でモデルの高橋メアリージュンさんと、妹の高橋ユウさんが「夢の実現を目指す」アイテムとしてそれらを紹介していたのです。

「メレンゲの気持ち」で放送された「夢が叶うドリームボード」に関する記事はこちら>> 

 「ドリームボード」を早速やってみようと思って、ネットでいろいろ調べていたら、映画「ザ・シークレット」にたどり着きました。

 「ザ・シークレット」の中にも、同様のものが登場しますが、映画の中では「ビジョンボード」と紹介されています。

映画「ザ・シークレット」のあらすじ

 あらすじとしては、
「1年前のわたしは、ボロボロでした。仕事では疲れ果て、父は急死し、人間関係はトラブル続きでした」
 というナレーションから始まる話です。

 ボロボロ状態の、ロンダ・バーンっぽい女性(本人?)が、トランクの中から「ママ、これが助けになるわ」とメモの貼られた本を手にします。

 本を読み始めたロンダ・バーンっぽい女性は、
「偉大なる秘密(シークレット)の存在を知った」
 と驚き、そこから先は次々と実在のモチベ―ショナルスピーカーが登場して、その「秘密」についてい語るドキュメンタリー映画です。

 「秘密」とは、「歴史的人物は皆、知っていたこと」と説明があり、プラトン、シェイクスピア、ニュートン、ユゴー、ベートーベン、リンカーン、エマーソン、エジソン、アインシュタイン・・・偉人たちの肖像画や顔写真が次々出てきます。

「なぜ、世間ではだれもそのことを知らないの?」
 と囁くロンダ・バーンっぽい女性。

「全世界の人が(秘密を)知るべきだと思った」
 と語り、
「この秘密を知っている人を探した」
 というシーンのあとはもう、映画的な演出はフェードアウトします。

 最初こそ壮大な感じで始まりますが、開始2分30秒頃に往年の淀川長治さん風の「哲学者」ボブ・プロクターが登場して、
「その秘密を知れば、欲しい物すべてが手に入ります!」
 と語り始めると、あとは次々似たようなモチベ―ショナルスピーカーが登場して、CG合成された背景の前で「秘密」とは何なのか、どうすればいいのか、何がダメなのか、をひたすらカメラ目線で語っていくスタイルです。

 最初見た時は、なんとなく言いたいことはわかったし、モチベーションが上がったことは上がったものの、で、何?という感じもしました。

 特に、この映画に出演したモチベーショナルスピーカーの一人が逮捕されたという情報を知ってからは、なんだか胡散臭いような感じも拭えなくなりました。

映画「ザ・シークレット」の中の逮捕者

 映画の中に登場するモチベーショナルスピーカーの一人、「ジェームズ・アーサー・レイ」は、彼が主催するセミナーで死者を出したことで有罪判決を受けています。

 「2010年2月3日に逮捕された後、過失致死罪で3件の罪で有罪判決を受けた。彼はアリゾナ州の刑務所で2年間服役し、2013年7月12日に保護観察付きで釈放された」とJames Arthur Ray Wikipediaにあります。

 罪に問われたのは、レイが主催した「スウェットロッジ」と呼ばれるサウナのような場所でのセミナー中に、熱中症のような症状で3人が亡くなった事故でした。

 事故が起こったのが2009年10月8日ですから、「ザ・シークレット」公開の2006年3月から約3年半後ということになります。

 幸せな生活や、経済的な自由を得るための手助けをしてくれるはずのモチベーショナルスピーカーが、事故とはいえ死者を3人も出すということは、
「やっぱり、胡散臭い」
 と思わずにいられません。

 私も、ご多分に漏れず、この事実を知った途端に「ザ・シークレット」への興味やドリームボードへの期待が一気に冷めました。

結局「ザ・シークレット」の”秘密”って何のこと?

 映画「ザ・シークレット」で語られる「秘密」とはずばり「引き寄せの法則」のことでした。

 これは映画冒頭に登場する最初のモチベーショナルスピーカー、ボブ・プロクターが早々に、
「それは唯一の法則、”引き寄せ”です」
 と語っています。

 多くの歴史的人物や成功者、富や名声を手に入れた人たちが「引き寄せの法則」を使っていた

 それが「秘密(シークレット)」だと語られ、そこから先はつぎつぎモチベーショナルスピーカーが登場して、「では引き寄せの法則とは何か」「具体的にどうすればいいのか」「こうのはやっちゃだめ」「こういう時は、こう考えて」・・・などと伝授します。

 これが、何というか、とても残念なのは編集されまくっていて、見終わった時に、
「結局、引き寄せの法則て何?」
 と、腑に落ちないこと。

 私は、なんとなくモヤモヤして、わかったような、わからないような、不思議な感覚になりました。

 「引き寄せの法則」て、結局何のことなのか、一度「ザ・シークレット」を見ただけでは、頭に入ってこなかった。私の理解力がないのか?という気持ちになります。

考えるヒマを与えない編集

 詐欺師や怪しいスピリチュアルセミナーなどがよく使う手法として、相手に「考えるヒマを与えない」というやり方があります。

 私は決して「ザ・シークレット」をけなすつもりはありません。

 だけど、考えるヒマを与えない編集は、「ザ・シークレット」を残念で、安っぽい作品にしてしまっていると思います。

 「オレオレ詐欺」や「振り込み詐欺」にしても、まずお年寄りに電話で「大変だよ、助けて!」と衝撃を与え、そのあとは「早く、早く」とせかして、何か変だなと考える余地を与えないうちに、お金を振り込ませたり、キャッシュカードやクレジットカードを盗み取ったりするそうです。

 映画「ザ・シークレット」を見ていると、登場者が次々と畳み掛けるように、
「この機会に引き寄せの法則を手にいれてください」
「思考は周波数があり、測定できます」
「思ったことは具現化します」
「思考は磁気をおびた信号を出しています」
「自分の欲しいものに思考を集中さましょう」
  ・
  ・
  ・
 と語ります。

 一人のモチベーショナルスピーカーが語っているのだったら、理解もしやすいのですが、まるでパズルかパッチワークのように、様々なモチベーショナルスピーカーの発言シーンを短く切って、編集して、畳み掛けるようにつなぎ合わせる構成になっています。

 重要なキーワードを抜き出して、箇条書きにしたような編集とも言えます。

 これが逆に分かりづらいので、見終わった時に高揚感はあるものの、
「で、結局、引き寄せの法則て何をすればいいんだっけ?」
 となって、頭の上には大きなクエスチョンマークが浮かんで終わり・・・となります。

 よくわからないままに私は、
「それでも何か、重要な秘密を知ったような気もする。もっと掘り下げて考えないと」
 と思って、本まで買いました。


ザ・シークレット


 しかしこの本は、結局映画をそのまま、ノベライズというか、書籍化したようなもので、映画と同じ登場人物が、映画と同じことを文字で語りかけているだけ。しかも、書籍まで映画同様に、細切れの、箇条書きにような短いセンテンスの羅列です。

 電子書籍で買ったので、予め内容をパラパラ見ることができませんでした。もし、書店で紙の書籍を手にとってパラパラと見ていたら、
「なんだ、映画と同じ内容か」
 とわかって、買っていないと思います。

 映画にしろ、書籍にしろ、なぜ、こんなこま切れの分かりづらい編集にするのか?

 ロンダ・バーンは、「全世界の人が(秘密を)知るべきだと思った」と言いつつ、本当のところ、全世界の人には知ってほしくないのでは?

 それとも単純に、「引き寄せの法則」というものは、一見簡単そうだけど、そう簡単には理解できないほど複雑なものなのか?

 など、矢継ぎ早に自分の中で疑問が吹き出し、それでも私はこの「ザ・シークレット」が伝えようとしている「何か」が、
「理解できたら、すごいことなんじゃないのか?」
 という気がして、どうしても離れられないのでした。

 これは、後でわかったことですが、ロンダ・バーンの「ザ・シークレット」はその後シリーズ化され、「ザ・パワー」「ザ・マジック」「ザ・ヒーロー」・・・など、本が何冊も出版されています。

 はじめからシリーズ化するつもりだったのか、それとも、「ザ・シークレット」がヒットしたのでシリーズ化したのか?どちらとも言えませんが、少なくとも、
「最初に全てを語ってしまったら、もったいない」
 という感じで、出し惜しみしたのではないでしょうか。

「なんだか、わかったような、わからないような・・・」
 という気持ちで、ついついシリーズ化されているロンダ・バーンの著書を次々買ってしまいそうになりましたが、今のところは「ザ・シークレット」だけでいいかな、とも思います。

「予祝」と「引き寄せの法則」

 それでも、似たような「引き寄せ系」の本が気になって、日本人の方が書いた「前祝いの法則」という本を読みました。

 この本によると、「引き寄せの法則」とはすなわち、これから先に起こる「いい事」を、起ころうと起こらまいと「前もってお祝いしてしまう」ことで、引き寄せられるということだそうです。

 これを「予祝(よしゅく)」と呼んで、夢を叶えるためには前もって「もう叶った気持ちで祝う」と、夢は本当に実現するのだとか。

 もちろん半信半疑ですが、やって損はないと思いました。


前祝いの法則


 そして気づいたことは、そうか、「ザ・シークレット」が言いたかったのも、「前祝いの法則」と同じことだったんだ、ということです。

 逆に言うと、「ザ・シークレット」で回りくどく言っている「引き寄せの法則」を、わかりやすく「前祝いしろってことですよ」と説いたのが「前祝いの法則」です。

 「前祝いの法則」を読んだうえで、改めて映画「ザ・シークレット」を観ると、確かに、
引き寄せの法則を行うには、欲しい物を得た時と同じ気分をいかに生み出すかが大事。欲しい車や家があったら、それを手に入れた時の気分を先に作り出します。その”気分”が、欲しい物を引き寄せるのです
 と語られています。

 なるほど、欲しい物が手に入らなくても、すでに手に入った時のような気持ちになることが「引き寄せの法則」なんだとようやく気づき、改めて「ザ・シークレット」の映画や書籍を見返すと、繰り返し「先に思い描く」ことの大切さを力説してることに気づきました。

結局「引き寄せの法則」とは何なのか?

 「引き寄せの法則」とは、強く思い描くこと。

 もちろん、いい事を、強く思い描く。

 「こうなってほしくないな」と思うと、悪いことも引き寄せてしまうので、絶対に「嫌なこと」を考えない。

 「引き寄せの法則」には、否定形がないという話を、別の本で読んだことがあります。

 「病気になりたくない」は否定形だけど、そう考えると「病気になりたい」と同じで、病気を引き寄せる。

 「病気になりたくない」という否定形ではなく、「健康になりたい」という希望や良い状態を頭に思い浮かべること。

 「貧乏になりたくない」「嫌いな○○さんに会いたくない」「嫌な仕事をしたくない」「受験で失敗したくない」「車で事故を起こしたくない」・・・これらはすべて、英語で言うと”Do not”の否定形です。
 文字や会話文なら、この否定形は正しく理解されますが、「引き寄せの法則」では、否定形も肯定形ととらえられて、貧乏や嫌いな人、嫌いな仕事、失敗、事故を引き寄せるのです。

 そうではなく”Want”という「こうなりたい」「こうしたい」という考え方にすることが大事。そうすると、いい事が引き寄せられる。

 「お金持ちになりたい」「素敵な人と会いたい」「好きな仕事をしたい」「受験で成功する」「車で安全な走行をする」・・・良い考えが良い結果を引き寄せる。ようやく、「ザ・シークレット」がいいたいことが見えてきた気がします。

何度も観る「ザ・シークレット」

 今のところ「ザ・シークレット」はNetflixでいつでも見られるので、私はヒマさえあれば見ています。(配信終了のため、もうNetflixでは見られません)

 初見の時は大きな「?」だった内容が、だんだんわかるようになってきました。

 わかってくると、すごく楽しくなってきます。本当に、自分が良いものを引き寄せる実感がわいてきます。

 特に「予祝」や「すでに手に入った時のような気持ちになること」の練習は楽しい。

 これは簡単にはできることではない、と思っています。
 だからこそ「シークレット」であり、誰でもができることではないのだと思って、
「私はできる。やってみせる」
 という前向きな気持ちにさせてくれます。

 実際、できているかどうか、は別にしても、自分の欲しい物を「すでに手に入れた時のような気持ちになること」は楽しい作業です。

 Netflixに加入している人は是非「前祝いの法則」も合わせて読んで、映画「ザ・シークレット」を観てください。

 前向きな気持ちになって、
「人生が好転するかも!」
 という気分になったとしたら、あなたも「秘密」を理解できた人になれるはず。

 とかくこういった自己啓発みたなものは「怪しい」「嘘くさい」「それで成功すれば苦労はない」と叩かれがちだけど、疑ったり見下したりしてやらずじまいになるのは損だと思います。

 やってみて、上手く行けばラッキー。ダメでもともと。

 そんな気持ちで信じることから「引き寄せの法則」は始まると、私は理解しました。

「ザ・シークレット」はスピリチュアルではない

 最後に、映画や書籍の「ザ・シークレット」を、スピリチュアル系と思っている人がいますが、厳密には「ザ・シークレット」がいいたいことは、スピリチュアルなことではありません。

 逮捕されたジェームズ・アーサー・レイが行っていたセミナーが、かなりのスピリチュアル系の内容なので(映画には一切そのようなセミナーの内容は出てきませんが)、怪しいスピリチュアル系の話と誤解されがちです。

 根拠のない方法論ととらえられ、「信じれば救わる」的なおまじないめいたものが「ザ・シークレット」で語られる内容だと思ったら、それは間違いです。

 私は、今更言うのも変ですが「引き寄せの法則」という和訳が、どうもその誤解の原因ではないか、やめたほうがいいのでは、もっと別の言い方にすればいいのに、と思っています。

 映画「ザ・シークレット」の中で語られる「引き寄せの法則」は、良いことであれ、悪いことであれ、心で強く思えば引き寄せられると説明しています。

 欲しい物を強く思い浮かべれば、お金でも豪邸でも高級車でも、手に入る時がくるが、悪いことも思い浮かべれば引き寄せられるのだ、と言っているので、「万有引力の法則」に近いものです。

 言わずと知れた「万有引力の法則」は、地球上のすべての物に作用しています。

 「引き寄せの法則」も、善悪すべてに作用するので、欲しい物を強く思えという教え以上に、良くない事を繰り返し考えることで、引き寄せてしまうのは避けろと言っています。

 一例として、「借金があるどうしよう。今日も請求書が来た」と、請求書のことばかり考えていると、請求書は次々届くのだと解説しています。

 むしろ、夢を叶えるとか、幸せになるとか以前に「リスクマネジメント」と言ったら大げさかもしれませんが、自分を不幸にするやり方はやめなさい、と強く訴えています。

 これこそが、製作者の言いたいことだったのかもしれません。

 「引き寄せの法則」はおまじない、占い、霊的なもの・・・ではありません。

 良いことを引き寄せるとともに、悪いことを「引き寄せないようにする」ことの大切さを学ぶのが「引き寄せの法則」の本当の意味です。

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