「最近読みたい本がない・・・」
という方におすすめの本を紹介。
短くてサクッと読める短編集。
「本を読む」こと自体を学ぶ「本」。
思わず笑ってしまうエッセイ。
などを紹介する。
こんな人におすすめ、
◆本が沢山ありすぎて、何から読んでいいかわからない
◆読書は好きだが、ビジネス書ばかり読んでいて小説やエッセイはよくわからない
◆人生でほとんど、本を読んだことがない
◆沢山本は読んだが、心に残るものがない
◆サクッと読める短編集が読みたい
ショートショートの達人 星新一の「ボッコちゃん」
日本のショートショートの名手といえば星新一。
代表作の「ボッコちゃん」は短くて、不思議で、ちょっと怖い物語の短編集。
ドキドキする展開の最後に、あっと驚く結末が待っていたりするが、どれも短い物語なので、ドキドキから結末まで、起承転結がコンパクト。
一話一話が、さっと乗って、ちょっとスリルを味わって、すぐに終わるミニのジェットコースターみたい。
楽しくなって、次々と物語を読み進むことができる。
もう一人のショートショート名人 阿刀田高の「ナポレオン狂」
私が中高生の頃(約40年前)は、阿刀田高といえば「ショートショート」で星新一と並び称される名手。
私の印象ではどちらもブラックユーモアが効いているが、阿刀田高の方が若干、強めのブラックユーモアだと思う。
直木賞受賞の「ナポレオン狂」は、そんな「ちょっと強めのブラックユーモア」の阿刀田高の本の中でも、珠玉の名作集。
とくに表題作の「ナポレオン狂」という作品は、実はモデルとなっている実在の人物がいる。
そのことを知って(ググって下さい)から読むと、なおさら興味深い。
深く感じる豊かな読書へ 平野啓一郎「本の読み方 スロー・リーディングの実践」
「「本を読むのが遅い」ことを気に病んでいるひとたちに同情していた」
という平野啓一郎が書いた、スロー・リーディングを提唱する本。
私も一時期「速読本」を読み漁り、本を速く読みたい、何冊も読みたい、と焦っていた時期がある。
「週に10冊読みました」
とか、
「ひと月で50冊読みました」
とかに憧れていた。
でも、本当にそれでいいの?
何かの本にも「本当に面白い本なら『一気に読みました』とはならない。面白い本は読み終えたくないから、ずっと読んでいたくて、あえてゆっくり読むほどだ」とあった。
「最近読みたい本がない」
という人は、もしかしたら「本の読み方のコツ」を知らないからかもしれない(私も含めて)。
本を読むためのちょっとしたコツ、差がつく読書術、そういうものを知ることで「読書すること」自体が変わってくる。
「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む~走れメロス・一房の葡萄・杜子春・本棚」
本を読んだことがない人だけじゃない。
本を何冊も読んでいる人でも「新しい読書体験」ができる本。
元々、まったく本を読もうとしない我が子に買い与えた本だが、私も、読んだら感動の涙、涙、涙。
「ついに日本一おもしろく『走れメロス』を読む人間が現れた」――ダ・ヴィンチ・恐山氏
帯のキャッチコピーのとおりに、おもしろく読む人間と一緒に「走れメロス」が読める。
「本を読んだことがない32歳」の男性「みくのしん」が、「走れメロス」を一行一行読みながら感想を述べ、「かまど」が解説する様子が、ドキュメンタリー風の文章になっている。
「走れメロス」を読んだことがある人でも、新しい気付きや新鮮な驚きがある。
同様に「みくのしん」と共に「一房の葡萄・杜子春・本棚」を読むと、新しい読書体験ができる。
さりげない日常が感動に 保坂和志「生きる歓び」
名作や長編小説ばかり読んで、読書家になった気でいた私。
しかしそれを続けていると「読書疲れ」というか、「大作疲れ」になる。
谷中の墓地で拾った瀕死の子猫。片目はどうやら見えない様子。獣医に診せても助かる見込みが少ないと言われて・・・・
そんな猫と作者の、小さな日常が、どんな大作や長編小説よりも、心を揺り動かす。弱って、餌も食べようともしない子猫が、覚醒する瞬間が感動を呼ぶ。
私の中では「これまで読んだ全部の本の中でも、ベスト5に入る本」である。
特に、猫好きの人におすすめ。
余談 「面白い本」てのは、沢山あったけど・・・
「面白い本」てのは、沢山あった。
例えば20代の頃に読んだ原田宗典のエッセイは、腹を抱えて笑った。
そういった本もここで紹介しようかと思ったけど、Amazonのレビューを読むと「表現が古くてつまらない」「SNSでおすすめされて読んだが面白くない」という意見もあった。
そうだよね、笑いって難しい。
時代が変わると、面白さも変わる。昔は面白かったギャグや言葉遣いでも、今読むと「古臭い」と感じることもあるもんなあ・・・・と思って、紹介するのをためらった。
同じ理由で私は大好きな佐藤愛子の「娘と私」シリーズとか、浅田次郎の初期のエッセイ「勇気凛々ルリの色」シリーズとかも、笑えるエッセイだが、昭和生まれ世代でないと楽しめないかなあ・・・と思って紹介しづらい。
あとは「本の読み方」と同じような内容のもので、三宅香帆「(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法」てのもある。
これも「本の読み方のコツ」を教えてくれる本。
昔一度読んだ本でも、ちょっと読み方を変えれば面白くなる。
文体も平野啓一郎さんより軽いので読みやすい。
・・・軽い文体と言えば、昔「昭和軽薄体」なんて呼ばれた文体があった。椎名誠や嵐山光三郎らが1970年代末から1980年代前半に使っていた文体と言われている。
「〇〇なのだ」「〇〇であーる」みたいな軽い口語体なんだが、私が爆笑しながら夢中で読んでた「探検隊」シリーズとか「哀愁の町に霧が降るのだ」とかも、今読んだらちょっと恥ずかしいというか、古臭いんだろうね(若い人には)。
私は、およそ100年前の明治時代に書かれた夏目漱石の「自転車日記」だって、ゲラゲラ笑って読めるから、古臭い、つまらいと感じる人は、あえて苦言を呈すが、あなたの教養や感性が足りないからなのだよ。
まるで雛鳥が口を開けて、親鳥から餌をもらうのを待ってるみたいに、誰かから「面白い本」を教えてもらおうと待ってるだけじゃダメなんだ。
電子書籍のサブスクに入るとか、青空文庫の0円小説を読み漁るとかして、感性を磨いてほしい。
それがいちばん「読みたい本」への近道。