映画「ガス人間㐧一号」とNetflix「ガス人間」の違い(ネタバレ)

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 Netflixで公開された小栗旬さん主演のドラマ「ガス人間」。
 このドラマの元となった1960年の日本映画「ガス人間㐧一号」も、Netflixで配信中です。

 上映時間はおよそ1時間30分という短い作品なので、サクッと観れます。


目次

映画「ガス人間第一号」のあらすじ

 ※以下ネタバレを含みます

映画「ガス人間第一号」あらすじ

 映画の「ガス人間第一号」は、佐野博士に騙されてガス人間となった男・水野と、日本舞踊の没落した春日流家元の美女・春日藤千代の悲恋の物語。

 春日流を再興させるために、水野はガス人間であることを悪用して銀行強盗をはたらき、盗んだ金を「田舎の土地を売った」と嘘をついて藤千代に渡す。

 藤千代はその金を使って、一度は春日流から離れていった弟子たちを呼び戻し、盛大な踊りの発表会を計画する。

 しかし藤千代の使ったお金の番号が、銀行強盗されたお札と同じ番号と判明して藤千代が逮捕される。

 水野は藤千代を釈放させるために「俺が銀行強盗だ」と警察に現れ、ガス人間であることを証明して見せる。

 警察は銀行強盗の真犯人として水野を逮捕したいが、ガス人間なのでできない。
 銃で撃っても弾が素通りして倒れないし、隙間からガスになって逃げられてしまう。

 警察はガス人間を捕まえる方法を、科学者とともに考える。

 水野はなんとしても捕まらずに、藤千代の踊りの発表会を実現させようとする。

 科学者、警察、協力のもと、可燃性のUMガスを使ってガス人間を爆破する方法を実行に移す。藤千代の発表会の会場にUMガスを充満させ、ガス人間もろとも爆破する計画だ。

 発表会当日、ガス人間だけを劇場に閉じ込めて爆破する計画だったが、会場には藤千代と、藤千代の「じいや」の3人が残ってしまう。

 警察は計画をそのまま強行。
 UMガスを会場に充満させるまでは成功したが、遠隔操作で起爆装置のスイッチを入れても、会場が爆破しない。会場の起爆装置は何者かによって、解除されていた。

 その時、舞台で踊りを終えた藤千代。たった一人、客席で踊りを鑑賞していた水野が拍手する。
 藤千代は水野に駆け寄り、二人は抱擁する。藤千代はその時、水野のジャケットのポケットからライターを取り出し、着火して・・・。

映画「ガス人間第一号」とNetflix「ガス人間」の違い

 映画版とNetflix版の一番大きな違いは、「ガス人間」が、自らガス化するのか、しないのかです。

 映画版は、水野が自由にガスになったり、人間に戻ったりします。
 そのため警察が発砲しても、弾は当たらず、ドアや窓の隙間から逃げ出せる。
 人間の時にはペラペラしゃべるし、恋だってする。

 Netflix版は、「いとしのエリー」が流れるとガス化する。しかし、ガス人間に意思はなく、指示を出された通りにしか動けない。

 ガス人間として生きる理由も大きな違いがあります。

 映画版は愛する女性、藤千代のために、ガス人間は銀行強盗や殺人などの犯罪を犯します。

 Netflix版はガス人間そのものに意思はありませんが、操っている人間に「過去の復讐」という目的があります。

 Netflix版はあえて、ネタバレしないように書きます。
 過去の不幸な出来事。それに関わった人々。その人々を一人残らずガス人間によって殺害するため、ある人物が行動しています。

 キーワードは「ホワイトセンター」。
 この「ホワイトセンター」に関わった人物を探し出し、復讐するのがNetflix版「ガス人間」。

 実はこの「ホワイトセンター」の事件、実際にあった似たような事件がモデルとなっています。
 韓国で実際にあった「兄弟福祉院事件(きょうだいふくしいんじけん)」です。

 妙にリアルで、どこかで聞いたような・・・・と思ったのも不思議ではない。
 実際の事件がモデルだけに、映画版「ガス人間㐧一号」よりも、Netflix版「ガス人間」は生々しい。

Netflix「ガス人間」における映画のオマージュ

 先にNetflix版「ガス人間」を全話観てから、映画版を観ました。

 例えば映画版の新聞記者・甲野京子は、Netflix版で蒼井優が演じるテレビ放送の同名の記者。

 映画版の主人公・岡本警部補は、Netflix版で小栗旬が演じる警視庁・捜査一課の岡本警部補。

 役名や肩書は映画と同じですが、Netflix版は全く設定が違います。

 例えば映画版の岡本警部補は、ひたすらにガス人間を追いかける刑事ですが、小栗旬の岡本警部補は蒼井優の記者と、過去に恋愛関係があり、そのことが元で謹慎処分になっている訳ありの刑事。

 映画版ではガス人間・水野と、日本舞踊の家元・藤千代の悲恋がバックボーンにありますが、Netflixは刑事・岡本と、記者・京子と・ガス人間となった「れん」の三つ巴の悲恋という感じ。

 また、映画版のラストで藤千代が、ライターで自らを犠牲にしてガス人間を滅ぼそうとする場面は、Netflix版でも別の人物によって演じられています。
 このライターの場面、強引な展開に感じ、何だろう?と思ったけど、映画版を観て納得しました。映画のラストシーンのオマージュとして、Netflix版で描かれる場面でした。

 映画版ではとにかく、八千草薫がきれい。光り輝いている。
 後に「男はつらいよ」の2代目おいちゃん役を演じる松村達雄や、平成初期に「巨大かつら」で人気となった塩沢ときも出ています。

 八千草薫の「じいや」役は左卜全(ひだりぼくぜん)。私はぎりぎり、左卜全の「老人と子供のポルカ」をリアルタイムで聴いていた世代なので、「じいや」が登場すると頭の中であのフレーズ「ドゥビドゥバ パパパヤー」が流れてしまう。

 「老人と子供のポルカ」当時の左卜全は、かなりの老人だと思っていたけど、今の舘ひろしと同じ76歳だったって・・・嘘でしょと絶句。「ガス人間第一号」の時はまだ「ポルカ」の10年前だから66歳のはず。それなのに「じいや」がぴったりなくらい老け込んでいる。役作りとは思えない。昭和の人は皆、老け込むのが早かったよな。

 八千草薫は公開当時30歳。おでこの張り、鼻の形、唇のふっくら感、なんだか狂おしいほどに完璧な美しさ。ガス人間じゃなくても、惚れ込むだろうと納得の役。さすが元・宝塚だけあって、日本舞踊の所作の美しさも見どころ。

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