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読書日記|雨穴「変な家」の解説と感想

 衝動買いした雨穴「変な家」の文庫。
 しばらく放置していたけど、ようやく読み終えた。

 Amazonビデオに2024年10月公開の映画「変な家」が登録されていたので(早い・・・)見る前に放置していた原作を読み終えようと思ったのだ。

目次

雨穴「変な家」のデータ

著者:雨穴(うけつ)
 インターネットを中心に活躍するホラー作家。ウェブライター、YouTuberとしても活動している。

出版社:飛鳥新社
価格:770円(税込)
ページ数:253(文庫版)

データ:
 2023年年間ベストセラー
 ・単行本フィクション部門 1位(日販調べ)
 ・総合 3位(日販調べ)
 ・総合 4位(トーハン調べ)

映像化:
 2024年3月15日全国東宝系ロードショー
 間宮祥太朗 佐藤二朗 / 川栄李奈

配信:
▼Amazonビデオ
『変な家』

雨穴「変な家」登場人物

著者(私)
 オカルト専門のフリーライター

栗原さん
 著者の知人。大手建築事務所に務める設計士で間取りに詳しい。

柳岡(やなおか)さん
 著者の知人。中古物件の一戸建てを買おうとしている。「間取りに不可解な点がある物件」の事を著者に相談する。

宮江柚希(みやえゆずき)
 「間取りに不可解な点がある物件」の記事を読んで、心当たりがあると著者に連絡してきた人物。

雨穴「変な家」(原作)のあらすじ

 主人公は「オカルト専門のフリーライター」。文中では「著者」としか表記されない。

 あるとき「著者」は知人から相談を受ける。
 購入を検討している中古の一軒家があるが、「なんとなく気味が悪い」と。

 駅近の立地、築年数の浅さ、環境、明るい内装、それらは好感を持った。
 だがどうしてもその家、「間取りに不可解な点がある」のだと。

 知人から「間取り図」を託された「著者」は、大手建築事務所に勤める設計士の栗原さんに相談する。
 
 栗原さんは間取り図を見て、二階の「子供部屋」に窓がないことや、二重扉のこと、一階に謎の空間があることなどを次々と指摘。

 間取り図を分析していくと、この家は「殺人のために作られた家」ではないかという憶測に至る。

 すると数日後、その家の近所で「左手がない遺体」が発見される。

 家の事が気になって頭から離れない著者は、それを記事に書いて公開した。

 記事を読んだ宮江柚希(みやえゆずき)という女性から、会って話がしたいというメールが来る。
 「著者」が会ってみると、柚希は「夫があの家の住人に殺されたかもしれない」と言う。

 やがて、著者、栗原、柚希は、「間取りに不可解な点がある」家と、そこから失踪した家族の事を調べていくうちに、『左手供養』にまつわる、おぞましい一族の因習を知ることになる。

雨穴「変な家」を読んだ感想(ネタバレなし)

 前半は「間取り図」にまつわる不思議というか、不気味?な話。
 後半は「左手供養」の壮大な、黒歴史と犯罪と、一族の呪の解説のような展開。

 変な家の間取り図を栗原さん(設計士)が見た段階で、早々に「殺人のために作られた家」だと分析し、さらには「子どもが殺人をするのではないか?」というあたり、強引な感じがした。

 後半になると、柚希とその家族にまつわる負の連鎖や、一族が抱えた「闇」の謎解きになるのだが、なんだか横溝正史の「獄門島」を思い出さずにいられない。

 映画しか観てないが「獄門島」には「本家」と「分家」の対立が描かれている(はず)。
 それによく似た、本家と分家の遺産相続にまつわる黒歴史の話に移行して「間取り図」は後半もう出てこない。

 最後まで間取り図で引っ張るのかと思いきや、途中から急激に「横溝正史オマージュ」みたいな展開になって、とまどう。

 あと、本家と分家の話で、分家の主人には妻が何人もいたので、遺産相続争いが・・・のくだりは「犬神家の一族」っぽくもある。
 映画には石坂浩二も出ているというから(これから配信で観る予定)、これははじめから横溝正史を意識して作られた話・・・・・なのかもしれない。

 最初は主要登場人物が著者、栗原さん、柚希の3名なので迷わないが、後半「左手供養」の話になると姉や祖父母や父・母・叔母とその幼子・姉の夫や子ども・・・・と登場人物も一気に増えるので、話の中で迷子になってしまう。

 「お前は妾の子だから家は継がせられない」と、自分と女中との間に生まれた次男を追い出した家長。
 その家長が、家を継がせる長男の嫁に選んだのは家の女中だったりして、なんだか一貫性がないとうか、矛盾している点も多い。

 あといくつかの「不審死」に警察の捜査や司法解剖などが一切行われない点とか、あっさり都合よく死体が見つかる場面とか、いちいち言ったらキリがないが、話の整合性が疑わしい場面も沢山ある。

 それでも、結論が知りたくて、途中から一気に結末まで読んだ。
 前半はダラダラと、ちょっと読んでは放置、またちょっと読んで放置を繰り返していたことを思うと、「柚希の謎」が明かされるあたりから面白くなるのは確か。

 話をグイグイ引っ張るスピード感は良いと思った。


変な家 文庫版


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映画版 変な家
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