「1年で億り人になる」要約と感想

独立開業

 新聞広告で紹介されていた、サンマーク出版から出版されている戸塚真由子さんの著書「1年で億り人になる」が気になったので、早速電子書籍を買って読みました。

 本の紹介文によると『大富豪や「ケタ違いの投資家」の間だけで伝えられてきた、続々と「億り人」が誕生している投資法の極意を、日本で初めて公開する』とのこと。

 しかし、本を読む前に著者のことを検索してみると・・・驚きのキーワードが!

戸塚真由子とは?SM愛好家?

 まず著者のその他の本がないかとAmazonで検索してみたけど、この本以外に著書はありません。

 そこでSNSを検索してみたら、最初に出てきたツイッターの紹介文が「SMプレイが大好きな私のエッチな生活公開しちゃいます。エッチ大好き、色んな国の色んな趣向のメンズとエッチしてます。」で、「え?え??」(二度見、三度見👀)て思いました。

 同姓同名の人違いかと思ったけど、ブログのタイトルも「まゆこのエッチなブログ SM愛好家」で、そのブログに本の宣伝もあったので、人違いではなさそう。

1年で億り人になる

 ちなみに、つい数日前までブログタイトルも上記のとおりだったのですが・・・
 
 本が売れてきて、さすがに良くないということになったのか、現在はブログタイトルから「SM愛好家」の表記が消えています。

 本には一切、そういった「性的嗜好」に関する情報はありません。

 ただ、やはり、本を読む上でどうしても、様々な「資産家」との出会いが、その性的嗜好を介してだったのかな・・・という妄想はしてしまいますよね。

 まあ、私も・・・若い頃に一時期「成人雑誌」系のライターをしていたこともあるので、そういった世界も垣間見たし、偏見はないのですが、
「よーっし、億り人を目指すぞ!」
 という時に、真っ先にそういったキーワードを見てしまうと、なんか、ちょっと、「え?え??」て戸惑うものです。

 ただご本人は特に隠すつもりもないようなので、一周回って逆に「面白い経歴の人」てことでいいのかな、とも思いました。

 さらに検索してみたら、著者がインタビューの中で、
「マッチングアプリのメッセージやプロフィールの書き方などのコツがあって、それを実践するとアプローチが来るのはお金持ちばかりになります(笑)」
 と答えている記事があった。

 本を読んでも特にそのことは書かれていなくて、いろいろ考えた結果、私なりに感じたのが「SM」というキーワードがお金持ちを引き寄せるキーワードなのかな?てこと。だったら策士よのう・・・じゃなくて、商売上手てことで(間違っていたらごめんなさい)。

 たしかにお金持ちや、資産家の方に、そういった性的嗜好の方は多いとか、なんとか。某有名企業の創業者や、大企業の社長が、そういった性的嗜好の集まりに足繁く通っていたという都市伝説?は昔からよく聞いたものです(山田詠美さんの古いエッセイとかにも・・・)。

 著者の動画サイトにも、タイトルに頻繁にこのキーワードが出てくるのですが、内容はいたって普通の投資や資産形成の話なので、キャッチーなフレーズとして多用している可能性はあるなと思い、ここで私も多用してみました(笑)。

▼インタビュー記事はこちら
『1年で億り人になる』著者・戸塚真由子が語る、資産家になってわかった“本当に大切なもの”

 本で紹介されていた著者のプロフィールの要約は以下のとおりです。

 ・父は公務員で母は専業主婦
 ・両親そろって超節約家
 ・父は倹約して貯めたキャッシュで家を買った。「この家は失敗だ」とすぐにもう1戸家を買い、定年後、家が2戸と1億円の現金が残った(←つまり決して貧乏だったわけではなく、むしろ裕福な家庭なんだけど親はドケチだったと)
 ・お小遣いは高校生まで1ヶ月30円。100円玉や千円札を見た記憶がほとんどない
 ・ヘアスタイルは、ムダにお金がかからないように「麗子像」のような「おかっぱ」に母が切っていた
 ・何でも果てしなく値切る父。車のセールスマンも顔が真っ青になり二度と来ない
 ・「この家では、人間でなくお金が主(あるじ)だ」が父の口癖

 これらの幼少期の体験から「お金へのコンプレックス」が強烈で、激しく浮き沈みする人生になったとのこと。

 大学を卒業して公務員となった著者は、湯水の如くお金を浪費するようになり、「お金への飢え」が止まらず、高級クラブでアルバイトを始める(え?公務員なのに大丈夫?)。

 「働かなくてもいいように」という思考回路で、結婚相談所で出会ったお金持ちと結婚するも1年でスピード離婚。そのあとラスベガスに旅行したことで意識改革が起こり、公務員を退職。ラスベガスに「留学」という名目で移住。お金持ちだと思って結婚した現地のアメリカ人男性は貧乏で、貧困に喘ぎ、離婚して帰国。

 いろいろやったが駄目で、「お金持ちと結婚できる」と触れ込みの結婚相談所にふたたび入会。年収1億円の50代男性と結婚するも、生活費を渡してくれないので結婚生活はひどかった。しかし、この年収1億の男性は資産構築のプロだったので、学んだこともあった。

 そして著者は「誰でもお金持ちになれる原則」を発見。真似をしようと思ったが、自分の使えるお金がない。

 生活費を稼ぐために太陽光関連施設のセールスを始め、「月収800万円」のトップセールスマンに。夫と離婚し、今度こそ本物のお金持ちになりたいと、大富豪が生息していそうなエリア(モナコ、カンヌ、ドバイ・・・)に出かけて海外のVIP達と交流を深める。
 
「いくら稼いでも、会社員ではダメだ」
 と痛感し、トップセールスだった会社を退職して、投資家として成功している男性を探す。

 師匠「オリバー」と出会って、4ヶ月後には資産1億円を作った。

 現在は資産構築コンサルティングの会社を運営し、「1年以上のキャンセル待ち」に。

で、その「誰でもお金持ちになれる原則」とは?

 ちなみに、上記のプロフィールは本の最後の章に出てくる内容です。

 ワタシ的には、この「第7章 誰よりもお金持ちに憧れて」が一番おもしろく読めた。

 かつて私が敬愛したミスミナコサイトウを思い出すような気持ちで読みました。

 私の愛読書、ミスミナコサイトウの「ヨーロピアンハイライフ」にも、お友達の石油王の息子とか出てきて、スケールがデカすぎて、最終的には、
「この話、どこまで本当なのかしら?」
 と思うのですが、「ケタ違いの資産家」とか「大富豪」の話はいつ聞いても、スケールの大きいほうが夢が見れるというものですね。

 本の中には要所要所で、「億り人ファイル」というエピソードが紹介されています。この部分も実話だとしたら、どれも興味深い話です。

 ただ、肝心の「誰でもお金持ちになれる原則」というのが「現物投資」というのは、残念でした。

 ようするに株や為替のような「実物(ブツ)」が存在しない投資は、投資ではなくギャンブルのようなものであり、元本を毀損する(元本割れする)。「現物投資」はブツがあるから、暴落して0円になる事態はない。と言うのですが、現物を手に入れるにはかなりの「元手」が必要です。

 借金には「良い借金」と「悪い借金」があり、現物投資のための借金は「良い借金」なので「どんどん借金を増やしましょう」というあたり、怖くて私には(おそらく多くの人が)無理でしょう。

 また「ケタ違いの資産家たちは、個人の資産もBS脳で考える」という話は、「BS=バランスシート=貸借対照表」のことで、
「なんか、昔、どこかで聞いたような・・・」
 と思ったら、 お金の哲学のバイブルとも言われているビジネス書「金持ち父さん貧乏父さん」にもありました。


改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学

 「これは!」と思える投資案件があったら、借金してでも投資したほうがいい。借金の利息を上回る収益があるなら、借金は急いで返済する必要なんてない・・・的な話だったと思います。

 怖くてとても、できないですよね!

 だから、いつまでたっても、お金持ちになれない「労働者マインド」なんだということは重々承知していますが、この本に限らず、似たような投資や蓄財の本全てに共通する、
「見る前に、翔べ!」
 的な話って、やっぱり怖いとしか言えない。

 まだ記憶に新しい「かぼちゃの馬車事件」なども、いわゆる現物投資でした。

 お金を銀行から借りて、シェアハウスのアパートを建て、そのアパートの収入から借入金を返済しつつ、資産構築にもなるという不動産投資。

 「かぼちゃの馬車事件」は結局、銀行が安易な貸し付けをしなければ、被害に遭わずに済んだ人も多数いるとも言われており、最終的には銀行側が「物件を手放すことで借金を帳消しにする」と発表し、「超太っ腹な対応」「二度と起こらない神対応」とは言われましたけど、そもそも銀行側の不正融資が問題なわけでしょ。

 この本(1年で億り人になる)を紹介するうえで、現物投資が「怖い」と言ったら良くないのかもしれないから、
「素人にはやはり、難しそうだ」
 と言いましょう。


かぼちゃの馬車事件 〜スルガ銀行シェアハウス詐欺の舞台裏

結局会社の宣伝なの?

 以前、この本とは別の「あなたでも億が稼げる」的な本を読んだら、その著者のやっているオンラインスクールの生徒のエピソードばかりが紹介され、とにかく詳しいことはオンラインスクールに入って学んでくれという内容で、
「なんだ、結局この本、宣伝じゃん」
 という事がありました。

 それに比べたら、この本はまだ良心的で、不動産投資以外にも「現物投資」の例がいくつか紹介されています。

 また投資の話よりも、5章の「詐欺師を警戒せよ」の内容の方が有益かもしれません。

 またその章の中にも、
「富裕層が本物の情報を0円で「機密保持契約書」も交わさず、不特定多数に発信することはありません」
 とはっきり書いてあり、
「私の資産構築コンサルティングでも入会金をもらいますし、(中略)秘密保持契約書を交わしたうえで、情報を伝えています」
 とあります。

 つまり、本当の「儲かる話」は、本の中にはない。

 情報が欲しけれ、入会金払って秘密保持契約書を交わした上でってことなのかしらねえ・・・・

 て!そりゃ、そうでしょうね。

 ただいきなり「SM愛好家」を公言している女性の資産構築コンサルティングに、お金を払って教えを請うというのは不安だという方は、この本を読む価値があるでしょう。

 タイトルの「1年で億り人」とは、「あなたも1年で億り人になれる」ということではなく、「私は1年で億り人になりました」という意味であったことに、読み終えて気づきました。この本を読んだら「1年で億り人になれるのかなあ・・・」と安易に思った自分が恥ずかしいです。

 正直なところ、投資家マインドなどに目新しいものはなく、四半世紀前に読んだ「金持ち父さん貧乏父さん」を超えるものではありませんでした。本当の資産家やお金持ちは、軽トラックに乗っていたり地味な服装という話も、かつて私が勤めていた会社の社長が、資産数十億の資産家なのに、絶対に本革の靴を履かず、合成皮革の履き潰した靴を履き、安物のスーツに身を包み、満員電車で通勤していたことを思い出して、よくある話だなと思いました。

 ただ、著者の「人としての存在感」の方が気になります。

 叶姉妹のようなゴージャスな外見というわけでもなく、一見「アパホテル社長の若い頃」を彷彿とさせるようなこの方が、世界を股にかけ大富豪と渡り合っているというストーリーに、電子書籍代を払ったようなものでしたが、今後も注目はしていきたい。

 ある意味、私の心のメンター「ミスミナコサイトウ」の再来かもしれない。


1年で億り人になる

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