去年まで事故物件の不動産を所有していた。
築45年以上の事故物件の実家を、相続したのだ。
なんとか売却しようとした。
しかし、全く売れなかった。
その間に実際起こった、嫌なこと、面倒なことを書いてみる。
実際にこの記事を書くために、ネット検索した。
「事故物件 実際に起こる事」
で検索すと、99%は心霊現象だとか、怪奇現象の話。
先に言っておくが、この記事はリアルに事故物件の不動産を所有していた私の身の上に起こったことを書いた。
心霊現象や怪奇現象の話は「1ミリもない」。
そういったことに興味がある方は他を当たってほしい。
本当の事故物件に心霊現象が1ミリもない理由
「心理的瑕疵」と書いて「しんりてきかし」。
「心理的」というキーワードに注目してほしい。
一般的に事故物件と呼ばれる不動産の、正式名称だ。
誰にとっての心理的なのか?
当事者なのか、他者(第三者)なのか?
これは「他者にとっての心理的」であると、私は身を持って感じた。
少なくとも、当事者である私にとっては、なんら心理的瑕疵はない。
それ以上に、大変なことが多いからだ。
売却しようにも、悪い噂が立って売れない。
更地にしようにも、費用が足りなくてできない。
そうこうして迷っているうちに、ただでさえ「心理的瑕疵」がある物件が、どんどん本格的な「お化け屋敷」「心霊スポット」化していく。
「〇〇町にある、お化け屋敷、知ってる?」
「ああ、あそこ、出るらしいね」
「そうなんだよ、実は俺の友達が先週さあ・・・」
と、こちらから言わせていただけば、ありもしないお化け話をでっち上げられてて、不動産価値をどんどん下げられていく。
事故物件における本当の「戦い」は、ホラー映画や怪談話のような「超常現象」や「怪奇現象」との対決ではない。
世間という得体のしれない集合体の中で、日々巨大化してく「悪評」「ホラ話」との戦いであり、日本国の不動産や相続に関する法律、行政指導との戦いである。
心霊現象なんて、気にしているヒマはないのである。
誰かがその事故物件に、恨みを抱いている?
実家を私が相続する事になったのは、実家のご近所からの苦情だった。
もちろん、誰が苦情を言っているのか、わからない。
実家は、碁盤の目のように宅地造成された、いわゆる新興住宅地の一角にあった。
もちろん「新興」といっても、45年前の建設当時の話だ。
その場所は、古くからある街中や住宅街ではない。
街から少し離れた場所の、元々山林だった場所を削って、そこに碁盤の目のような住宅地をつくった。
大手住宅メーカーが、50年くらい前の高度経済成長期に企画した、新興住宅地の分譲地だ。
その〇〇ニュータウン的な場所に、一戸建てが約150件。
実家はその一角にある、約80坪の一戸建て。
両隣のお宅2件と裏のお宅1件。
この3件は確かに、苦痛に違いない。
斜め後ろの2件も入れると、実家を取り巻いている家は5件あり、そのどれもが普通のお宅である。
新築住宅に引っ越してわずか数年で、隣接する家が事故物件になった。
しかもそれから40年以上が経過して、空き家となったその家には、草木が生い茂り、ゴミが積み上げられている。
自分がその、お隣さんだったら、たまらないと思う。
言い訳するつもりはないが、私が相続するまでは、親戚がその家に住んでいた。
なので、事故物件といえども、ずっと空き家ではなかった。
家が荒れたのは、事故物件になったからではなく、その「ずっと住んでいた親戚」にも問題があった。
いわゆる「ゴミ屋敷」にしてしまうタイプの人だったのだ。
さらに、庭や家の周りにゴミを溜め込んだあげく、その親戚は家を放置して逃げるように出ていった。
ただでさえゴミ屋敷なのに、空き家になったことで庭木が伸び、放置されたゴミから異臭や害虫が発生し、役所に苦情がいったのだ。
そして、役所が調査を開始したところ、
「この家の持ち主はすでに45年前亡くなっており、相続手続きもされていない」
ということが判明。
亡くなった持ち主というのが、私の親だ。
つまり、ずっと住んでいた親戚は、親との関係は薄い(他人ではないが)。
相続権が発生するのが、子どもである私と弟の二人。
役所からの「今すぐ相続して」という知らせ
役所としては「今すぐ相続して、空き家を解消してほしい」ということだった。
私は私で、驚きもあった。その、ずっと住んでいた親戚が、とっくに相続の手続きをして、自分の土地にしていると思っていたのだ。
正直、
「え?それ、私や弟に責任があるんですか?」
と思った(今も若干、思っている)。
しかしこの親戚が、家を放置して出ていったあげくに、病気で亡くなってしまった。
なので、役所としては本来の相続人である私と弟に苦情を届けるしかなかった。
そして、そこからは怒涛のクレームが押し寄せてきた。
「すぐに庭木を切ってください」
「崩れかかっているブロック塀を修理してください」
「庭に集めてある不用品を処分してください」
「家の中も片付けてください」
「防災の意識を持ってください」
「害虫駆除もしてください」
「固定資産税を払ってください」
「滞納分の固定資産税も払ってください」
「住宅街の景観を良くするために、努力してください」
庭木は業者に依頼して、すぐに切ってもらった。
その費用として大金を払った。
ところが、庭木の手入れをした半年後、
「庭木がまた伸びているので、切ってください」
という役所からの通達が届いた。
私は電話で説明した。半年前に根こそぎ切ったこと。公道や隣家に出ている樹木は、全部可能な限り伐採したこと。画像でも確認したこと(実家は遠方にあって、私は直接行けない)。
しかし、役所の話は、とにかく庭木が伸びたという苦情が近隣住民から来ているの一点張りで、再び対応せざるを得なかった。
「誰か、ご近所に、執拗に苦情を入れている人がる・・・」
と思った。
無理もない。何年も、ゴミ屋敷状態だった家だ。
苦情の主はおそらく、役所には何度も言っているのだろう。しかし、改善しなかった。
しかし、ようやく少し、苦情が聞き入れられて改善された。
持ち主が変わったのか。今度の持ち主は、言えばやってくれるのか。それならこの何十年にもわたる不愉快な思いを、新しい持ち主にぶつけてやろう。
そんな感じだろう。
そしてその積年の怒りは、役所経由で、私の元へ。
とにかく、庭木を全部伐採したわずか半年後に、苦情がふたたび来たのだった。
私は震え上がった。
これは私がこの家の名義人である以上、どんどんエスカレートしていくのではないか。
今は庭木のことだけだが、言われたまま放置している「ブロック塀」のことも、再び言ってくるだろう。
土留だ、外壁の修繕だ、害虫駆除だと、矢継ぎ早に言われたらどうしよう。
一日も早く、不動産を処分したいと思った。
意味不明の不動産会社からの営業が殺到する
詳しい仕組みはわからないが、実家を相続した途端、不動産会社の営業電話や郵便のダイレクトメールが来るようになった。
不動産会社はどこかで常に、不動産を相続した人物の情報を手に入れているのだろうか?
「不動産の売却なら、おまかせください」
という案内が来る。
最初の頃は「これ幸い」と思って、売却のことを相談した。
しかし「実は、この不動産、世にいう事故物件でして・・・・」と言った途端に、不動産会社の態度が変わる。
事故物件になった経緯を、さんざん説明させられたあげくに、
「そういった物件ですと、当社では難しいですね」
と断られる場合もあった。
ただでさえ、不幸な出来事で思い出したくもないのに、わざわざ言わせておいて、「難しいですね」って、何だよ!
と、腹立たしい思いもした。
空き家を処分するには、まず相続登記にお金がかかる
話が前後するが、そもそもその家の「相続手続き」が大変だった。
役所としては、
「苦情が来ているので、空き家をなんとかして」
としか言ってこない。
なんとかするには、
・誰かが住んで、庭や家をメンテナンスする
・売却する
・更地にする
・寄付する
この4択だと思う。
まず、誰かが住んでくれないかと親戚に当たってみた。
しかし、誰もが「無理、無理、無理」と即答。
それはそうだ、親戚だもの、事故物件になった事情もよく知っている。
では、第三者に「事故物件を告知した上で、住んでもらう(賃貸に出す)」も一瞬考えた。
しかし、不動産会社に査定してもらったら、家の中が崩壊していることが判明。
「とても、人が住めるような状態ではない」
と言われたことで、断念。
「更地にする」は費用がかかる。同じ意味で「寄付する」もだ。
都道府県に土地を寄付する、または国に引き取ってもらう事ができると知って、その方法を調べた。
しかし、建物(空き家)を解体することが条件なので「更地にする」と同じで費用がかかるから無理だった。
消去法で残るのは「売却する」だ。
売却する時に絶対条件がある。
それは売主である私が「不動産の名義人」であること。
そのためには、親の名義になっている不動産を、私の名義への書き換え(相続登記)が必要となる。
うちの場合は複雑で、45年間相続登記を放置していたようなものなので、それなりの専門知識がある人、つまり司法書士などにお願いしないと相続登記ができなかった。
司法書士へ依頼する費用が、かなりかかった。
名義人が亡くなった直後であれば、最近は法務局のホームページで申請書の様式やマニュアルが分かりやすく公開されているので、司法書士を必要とせず、個人で相続登記する人もいるという。
そしてなにより、ChatGPTやGeminiなど、AIが非常に優秀。
実はこの文章も今、実話ではあるが、相続登記の手続きなど忘れてしまったこともあるので、AIに確認しながら書いている。
つくづく「もう少し早く、AIが一般公開されていたら、私だって自分で相続登記できたかも」と思った。
そう、今はわからないことはAIが答えてくれる。
相続登記や不動産売却で、わからないことがあったら、GeminiやChatGPTに質問できるのだ。
心霊スポット化やお化け屋敷扱い・大島てるが怖い
私が事故物件の実家を相続する時に、真っ先にやったのは「大島てる」を確認することだった。
大島てるに関する詳細は省くが、もし掲載されていたら「事実」なので原則として削除はできない。
AIにも確認したが、過去には不動産オーナーが「営業妨害だ」「イメージダウンだ」と裁判を起こしたケースもあるが、情報の公益性(次に住む人の知る権利)が重視され、大島てる側が勝訴したそうだ。
私の実家は、大島てるには掲載されていなかった。
とはいえ、不動産会社に査定してもらう時も、事故物件であることは正直に伝えている。告知義務というものがある。
大島てるに掲載されていようと、なかろうと、事故物件であることに変わりはない。
だけど、できれば大島てるに掲載は避けたいものだ。
どういう仕組で大島てるに登録されるのは不明だが、この先何かのきっかでで、掲載されてしまう可能性もゼロではない。
同じ意味で、地元で「心霊スポット」とか「お化け屋敷」扱いもある。
直接、私の耳には届いていないが、ひょっとしたら実家が「〇〇丁目にある、あのお化け屋敷」とか「あの心霊スポット」と、地元民に呼ばれていた可能性もゼロではない。
ただ、呼ばれているだけならまだいい。
肝試しなどと言って、不法侵入されたり、破壊されたりしたら、修繕費など、さらなる出費がかかる。
それも、なんとしても避けたかった。
実は、40年前の話だが、母方の実家は借家で、かなり老朽化していた。
どういう契約になっていたのか、不明だが、
「まだ住める」
と祖父は言い、家賃が安いからと住んでいた。
しかし、これまた行政の指導で、崩壊の危険があるから、速やかに転居するようにといわれて、結局引っ越した。
しかし、その老朽化した借家を、持ち主(大家さん)が解体せずにその後も放置し続けていた。
それから数年後。
高校に進学した弟が、クラスメイトが、
「あの、〇〇にあるお化け屋敷、あれはヤバイよな」
と話していたので、詳しく場所や住所を聞いたら、その、かつて母方の祖父母が住んでいた(そして母の実家でもあった)家のことだった、という話がある。
その当時は、
「〇〇にある元じいちゃんち、今では近所からお化け屋敷て言われてんだぞ」
と笑い話だった。
祖父母は引っ越したあとだったので、他人事だと思って笑っていたが、盛大なブーメラン。
私と弟の実家が「お化け屋敷」となる一歩手前だった。
いや、ひょっとしたら、すでにそう呼ばれていた可能性もあった。
追い打ちをかける「固定資産税6倍」特定空家の恐怖
家の中が崩壊して、住めるような状態ではない。
査定した不動産会社からそう報告を受けてから、私を悩ましたもう一つの、そして最大の恐怖がある。
固定資産税6倍の恐怖だ。
そもそも住宅の固定資産税は、評価額が1/6に減額されている。
たとえば本来は30万円払うべき固定資産税が、1/6の5万円に減額されているわけだ。
ところが、倒壊寸前や衛生上極めて有害な「特定空家」の「勧告」を自治体から受けると、1/6の減額が取り消されてしまう。
この取り決めは2015年5月に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」から始まった。
2023年12月からはさらに厳しくなり、「そこまでボロボロではないが、手入れされていない空き家(予備軍)」も、自治体の指導に従わず「勧告」を受けると同様に固定資産税が最大6倍になるよう法律が強化された。
このことを知った時に、私は震え上がった。
それまで払った実家の固定資産税は年間でおよそ5万円。
「特定空家」の「勧告」を自治体から受けると、毎年30万円もの固定資産税が発生する。
不動産会社から「内側が崩壊している」と知らされるまでまでは、このような特定空家ではない。なんなら、誰かが住んだり、賃貸にすることもできると思っていた。
しかしにわかに、特定空家が他人事ではない、身近なものとなっていた。
それからの日々は、特定空家と「勧告」を受けないために、必死で片付けをし、不動産の処分を急いだ。
くれぐれも事故物件は早めに処分
結局、私が相続した事故物件の実家は、事故物件の専門業者に処分を依頼した。
この文章だけでも長くなってしまったので、これ以上、もういいよという方もおられるでしょうが、
・事故物件の処分に困っている
・事故物件を手放したい
・事故物件は何をどうしたらいいのか
・特定空家の勧告を受けそうで怖い
などでお困りの方は、私が3回にわけて書いた「誰にも相談できずに苦しんだ事故物件の実家をなんとか処分した話」を参考にしてほしい。
なおこの実家にまつわる「事故物件シリーズ」、まだまだ無尽蔵にエピソードや書ききれていない事がある。
45年にわたる話なので、山のようなエピソードがあるのだ。
サイドストーリー的に、事故物件にまつわる話は、今後も書くと思う。

#苦しんだ事故物件シリーズをまとめて読む
