去年まで事故物件の不動産を所有していた。
築45年以上の事故物件の実家を、相続したのだ。
なんとか売却しようとした。
しかし、全く売れなかった。
その間に実際起こった、嫌なこと、面倒なことを書いてみる。
誰かがその事故物件に、恨みを抱いている?
実家を私が相続する事になったのは、実家のご近所からの苦情だった。
もちろん、誰が苦情を言っているのか、わからない。
実家は、碁盤の目のように宅地造成された、いわゆる新興住宅地の一角にあった。
もちろん「新興」といっても、45年前当時の話だ。
昔からある街中や住宅街ではない。
街から少し離れた場所の、山の中腹を削って、そこに碁盤の目のような住宅地をつくった。
大手住宅メーカーが、50年くらい前の高度経済成長期に企画した、新興住宅地の分譲地だった。
その〇〇ニュータウン的な場所に、一戸建てが約150件。
実家はその一角にある、約80坪の一戸建て。
両隣のお宅2件と裏のお宅1件。
この3件は確かに、苦痛に違いない。
新築住宅に引っ越してわずか数年で、隣接する家が事故物件になった。
しかもそれから40年以上が経過して、空き家となったその家には、草木が生い茂り、ゴミが積み上げられている。
自分がその、お隣さんだったら、たまらないと思う。
言い訳するつもりはないが、私が相続するまでは、親戚がその家に住んでいた。
なので、事故物件といえども、ずっと空き家ではなかった。
家が荒れたのは、事故物件になったからではなく、その「ずっと住んでいた親戚」にも問題があった。
いわゆる「ゴミ屋敷」にしてしまうタイプの人だったのだ。
さらに、庭や家の周りにゴミを溜め込んだあげく、その親戚は家を放置して出ていった。
ただでさえゴミ屋敷なのに、空き家になったことで庭木が伸び、放置されたゴミから異臭や害虫が発生し、役所に苦情がいったのだ。
おそらく、苦情殺到レベルの話だ。
そして、役所がくわしく調査を開始したところ、
「この家の持ち主はすでに45年前亡くなっており、相続手続きもされていない」
ということが判明。
亡くなった持ち主というのが、私の親だ。
つまり、ずっと住んでいた親戚は、親との関係は薄い(他人ではないが)。
相続権が発生するのが、私と弟の二人。
役所からの「今すぐ相続して」という知らせ
役所としては「今すぐ相続して、空き家を解消してほしい」ということだった。
私は私で、驚きもあった。その、ずっと住んでいた親戚が、とっくに相続の手続きをして、自分の土地にしていると思っていたのだ。
正直、
「え?それ、私や弟に責任があるんですか?」
と思った(今も、思っている)。
しかしこの親戚が、家を放置して出ていったあげくに、病気で亡くなってしまった。
なので、役所としては本来の相続人である私と弟に苦情を届けるしかなかった。
そして、そこからは怒涛のクレームが押し寄せてきた。
「すぐに庭木を切ってください」
「崩れかかっているブロック塀を修理してください」
「庭に集めてある不用品を処分してください」
「家の中も片付けてください」
「防災の意識を持ってください」
「害虫駆除もしてください」
「固定資産税を払ってください」
「滞納分の固定資産税も払ってください」
「住宅街の景観を良くするために、努力してください」
庭木は業者に依頼して、すぐに切ってもらった。
その費用として大金を払った。
ところが、庭木の手入れをした半年後、
「庭木がまた伸びているので、切ってください」
という役所からの通達が届いた。
私は電話で説明した。半年前に根こそぎ切ったこと。公道や隣家に出ている樹木は、全部可能な限り伐採したこと。画像でも確認したこと(実家は遠方にあって、私は直接行けない)。
しかし、役所の話は、とにかく庭木が伸びたという苦情が近隣住民から来ているの一点張りで、再び対応せざるを得なかった。
「誰か、ご近所に、執拗に苦情を入れている人がる・・・」
と思った。
無理もない。何年も、ゴミ屋敷状態だった家だ。
苦情の主はおそらく、役所には何度も言っているのだろう。しかし、改善しなかった。
しかし、ようやく少し、苦情が聞き入れられて改善された。
持ち主が変わったのか。今度の持ち主は、言えばやってくれるのか。それならこの何十年にもわたる不愉快な思いを、新しい持ち主にぶつけてやろう。
そんな感じだろう。
そしてその積年の怒りは、役所経由で、私の元へ。
とにかく、庭木を全部伐採したわずか半年後に、苦情がふたたび来たのだった。
私は震え上がった。
これは私がこの家の名義人である以上、どんどんエスカレートしていくのではないか。
今は庭木のことだけだが、言われたまま放置している「ブロック塀」のことも、また言ってくるだろう。
土留だ、外壁の修繕だ、害虫駆除だと、矢継ぎ早に言われたらどうしよう。
一日も早く、不動産を処分したいと思った。
意味不明の不動産会社からの営業が殺到する
詳しい仕組みはわからないが、実家を相続した途端、不動産会社の営業電話や郵便のダイレクトメールが来るようになった。
「不動産の売却なら、おまかせください」
という案内だ。
最初の頃は「これ幸い」と思って、売却のことを相談した。
しかし「実は、この不動産、世にいう事故物件でして・・・・」と言った途端に、不動産会社の態度が変わる。
事故物件になった経緯を、さんざん説明させられたあげくに、
「そういった物件ですと、当社では難しいですね」
と断られる場合もあった。
ただでさえ、不幸な出来事で思い出したくもないのに、わざわざ言わせておいて、「難しいですね」って、何だよ!
と、腹立たしい思いもした。
空き家を処分するには、まず相続登記にお金がかかる
話が前後するが、そもそも「相続手続き」が大変だった。
役所としては、
「苦情が来ているので、空き家をなんとかして」
としか言ってこない。
なんとかするには、
・誰かが住んで、庭や家をメンテナンスする
・売却する
・更地にする
・寄付する
この4択だと思う。
まず、誰かが住んでくれないかと親戚に当たってみた。
しかし、誰もが「無理、無理、無理」と即答。
それはそうだ、親戚だもの、事故物件になった事情もよく知っている。
では、第三者に「事故物件を告知した上で、住んでもらう(賃貸に出す)」も一瞬考えた。
しかし、不動産会社に査定してもらったら、家の中が崩壊していることが判明。
「とても、人が住めるような状態ではない」
と言われたことで、断念。
「更地にする」は費用がかかる。同じ意味で「寄付する」もだ。
都道府県に土地を寄付する、または国に引き取ってもらう事ができると知って、調べた。しかし、建物(空き家)を解体することが条件なので「更地にする」と同じで費用がかかるから無理だった。
消去法で残るのは「売却する」だ。
売却する時に絶対条件がある。
それは売主である私が「不動産の名義人」であること。
そのためには、母の名義になっている不動産を、私の名義への書き換え(相続登記)が必要となる。
うちの場合は複雑で、45年間相続登記を放置していたようなものなので、それなりの専門知識がある人、つまり司法書士などにお願いしないと相続登記ができなかった。
司法書士へ依頼する費用が、かなりかかった。
名義人が亡くなった直後であれば、最近は法務局のホームページで申請書の様式やマニュアルが分かりやすく公開されているので、司法書士を必要とせず、個人で相続登記する人もいるという。
そしてなにより、ChatGPTやGeminiなど、AIが非常に優秀。
実はこの文章も今、実話ではあるが、相続登記の手続きなど忘れてしまったこともあるので、AIに確認しながら書いている。
つくづく「もう少し早く、AIが一般公開されていたら、私だって自分で相続登記できたかも」と思った。
そう、今はわからないことはAIが答えてくれる。
相続登記や不動産売却で、わからないことがあったら、GeminiやChatGPTに質問してみよう。
心霊スポット化やお化け屋敷扱い・大島てるについて
私が事故物件の実家を相続する時に、真っ先にやったのは「大島てる」を確認することだった。
大島てるに関する詳細は省くが、もし掲載されていたら「事実」なので原則として削除はできない。
AIにも確認したが、過去には不動産オーナーが「営業妨害だ」「イメージダウンだ」と裁判を起こしたケースもあるが、情報の公益性(次に住む人の知る権利)が重視され、大島てる側が勝訴したそうだ。
私の実家は、大島てるには掲載されていなかった。
とはいえ、不動産会社に査定してもらう時も、事故物件であることは正直に伝えている。告知義務というものがある。
大島てるに掲載されていようと、なかろうと、事故物件であることに変わりはない。
だけど、できれば大島てるに掲載は避けたいものだ。
同じ意味で、地元で「心霊スポット」とか「お化け屋敷」扱いもある。
直接、私の耳には届いていないが、ひょっとしたら実家が「〇〇丁目にある、あのお化け屋敷」とか「あの心霊スポット」と、地元民に呼ばれていた可能性はゼロではない。
ただ、呼ばれているだけならまだいい。
肝試しなどと言って、不法侵入されたり、破壊されたりしたら、修繕費など、さらなる出費がかかる。
それも、なんとしても避けたかった。
実は、40年前の話だた、母方の実家は借家で、かなり老朽化していた。
どういう契約になっていたのか、不明だが、
「まだ住める」
と祖父は言い、家賃が安いからと住んでいた。
しかし、これまた行政の指導で、崩壊の危険があるから、速やかに転居するようにといわれて、結局引っ越した。
しかし、その老朽化した借家を、持ち主(大家さん)が解体せずにその後も放置していた。
それから数年後。
高校に進学した弟が、クラスメイトが、
「あの、〇〇にあるお化け屋敷、あれはヤバイよな」
と話していたので、詳しく場所や住所を聞いたら、その、かつて母方の祖父母が住んでいた(そして母の実家でもあった)家のことだった、という話がある。
その当時は、
「〇〇にある元じいちゃんち、今では近所からお化け屋敷て言われてんだぞ」
と笑い話だった。
祖父母は引っ越したあとだったので、他人事だと思って笑っていたが、盛大なブーメラン。
私と弟の実家が「お化け屋敷」となる一歩手前だった。
いや、ひょっとしたら、すでのそう呼ばれていた可能性もあった。
くれぐれも事故物件は早めに処分
結局、私が相続した事故物件の実家は、専門業者に処分を依頼した。
この文章だけでも長くなってしまったので、これ以上、もういいよという方もおられるでしょうが、
・事故物件の処分に困っている
・事故物件を手放したい
・事故物件は何をどうしたらいいのか
などでお困りの方は、私が3回にわけて書いた「誰にも相談できずに苦しんだ事故物件の実家をなんとか処分した話」を参考にしてほしい。
なおこの実家にまつわる「事故物件シリーズ」、まだまだ無尽蔵にエピソードや書ききれていない事がある。
45年にわたる話なので、山のようなエピソードがあるのだ。
サイドストーリー的に、事故物件にまつわる話は、また次回書く。

#苦しんだ事故物件シリーズをまとめて読む
