前回の【ほん怖】事故物件実家 その3ある事に気づいて背筋が凍ったの続き。
前回の「背筋が凍った」を書いてから、ひと月近くが経過した。
本当はもっと早く続きを書く予定だったが、ひと月も時間があいてしまった理由は2つある。
ひとつは、前回の「背筋が凍った」話が本当に、ダメージが大きかった事。こうして、あの家の事をなんとかしようと動き出すと、毎回「恐怖支配」というかたちで、不気味なことが起こる。死してなお母は、冥界から私を恐怖で支配してくるのだった。
そしてもう一つは「その家を買ってもいい」という話が2件、持ち上がったこと。
あの家と土地に関する、忌まわしい記憶。その1でも書いたが、あの土地は「手に入れた途端に、持ち主を不幸にする」という土地だと思っている私は、1日でも早くそれを手放したい。ここにこんなことを書いていて、まさかとは思うが、売却話がチャラになるのは嫌だった。だから続きを書くことに躊躇した。
あの土地は「ババ抜きのババ」。だから早く誰かに手放したい。
なので話の続きを書くのは、売却が決定してからにしよう、と思った。
しかし・・・・2件が2件とも、その後音沙汰なし。どこかで、何かを耳にしたのか、あるいはこれも、母の仕業か。過去40年以上にわたって、どう手放そうとしても、手放せない。買い手が永久に見つからないのが私の実家だ。
「踊る大捜査線 THE MOVIE」なんとか、自殺ってことにならないかな
先日、配信動画で「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」を観た。1998年公開の、劇場版の第一弾だ。
冒頭で、自殺とも他殺とも見える水死体が川で発見される。そのあと立て続けに、湾岸署内部での窃盗事件や、警視庁副総監の拉致事件が起こり、湾岸署内は大騒動となる。
水死体の解剖に立ち会った、いかりや長介さん演じる和久平八郎は、
「自殺の可能性は低い、特別捜査本部を立ち上げる必要がある」
と言う。
それを聞いた署長や副所長たちは、
「ダメだよ、特捜本部ダメ。うちに本部ができて、本店(=警視庁)の方々が来て、ここに泊まり込むってことになったら、弁当出して、お茶出して、タクシー代出すのみんなうちなのよ。」
「特捜本部の予算は、所轄が出すのが決まりですからね・・・」
「本部立てると、1千万は飛んでいきます」
と、口々に反対する。
「人、一人、死んでいるのに・・・」
と言う和久さん。
先日の放火殺人未遂事件で特捜本部を立てたので、うちにはもう予算は残っていないと言う刑事課長。
署長は、
「和久さん・・・・なんとか、自殺ってことにならないかな」
と言って、和久を「何、言ってんだよぉ」と呆れさせる。
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引用が長くなったが、これを観ていてやっぱりな・・・・と思う。
2万体の検死を行ってきた監察医の書いた「自殺の9割は他殺である 2万体の死体を検死した監察医の最後の提言」という本もあるほど、世の中には「自殺」と片付けられた「謎の死」が沢山ある。
母の死も、そんな感じだ。
現場検証に立ち会った伯母は、
「自殺と思われますが、他殺の可能性もゼロではない。司法解剖を希望されますか?」
と刑事に聞かれ、断ったと言う。
「気が動転していて、いいえ大丈夫です、姉は自殺だと思います。司法解剖なんて必要ないですって言ってしまったのよ」
と。
しかし、母の死後に様々な不穏で、怪しく、不気味な情報が集まってきた。
「数時間前に、男女が激しく争う声が聞こえた」
「車が急発進する音が聞こえた」
という、何人かの隣人の証言があった。一人ではない。複数人のご近所の方が、母の死に関して、それらの情報を伝えてきた。
「これは、他殺ではないのか?」
母の死から3ヶ月後、警察にそういった捜査を依頼することになった。
自殺ですか?他殺ですか?
伯父の知り合いに県警の刑事がいるとかで、その人を介して警察に捜査を依頼することになったのが、母の死の3ヶ月後。
刑事は近所に聞き込み調査を実施した。争う声を聞いた人や、車の音を聞いた人は、捜査に協力はしてくれたが、結論として、
「司法解剖もしていなし、これだけの情報で他殺かもしれない、という捜査はこれ以上できない」
という結論に終わった。
「踊る大捜査線」を観ていて、その時の事を思い出した。よほどの事がない限り、警察は捜査本部を立ち上げたり、犯人を探したりしないのかも・・・・しれない。
母の遺体は、発見されて3日後には荼毘に付され、骨となっていた。外国のように土葬なら、掘り返して司法解剖することも可能かもしれないが、火葬したあとの遺骨では調べようがないということだった。
余談だが、火葬場の職員の方が、焼き上がった母の遺骨を見て言った。
「この方の骨は、たいへん立派ですね。まだお若い。事故か何かで亡くなられたんでしょうか?」
母が亡くなる前に、父も「脳出血」で亡くなっている。父は、火葬したあとの骨はボロボロだった。
生前「病気の問屋」と言われ、病弱で入退院を繰り返していた父。40歳という若さながら、骨の大半は火葬場の炎で焼かれて灰となり、かき集めてなんとか骨壺を満たすような状態だった。
しかし、母の遺骨は頑丈で、そのほとんどはまるで理科室にある骨格標本をそこに横たえたごとくに焼け残り、砕いても骨壺にも入り切らないほどだった。
本来なら健康で、まだ何年も生きられたはずの母。
沢山のご遺体を見てきたであろう火葬場の職員も「立派な骨」と感嘆するような、健康体。
実家の土地には、そんな母の無念も上乗せされている。
私が思うに、もともと不穏な土地だった上に、母の無念や怨念が上乗せされているから、二重に厄介な事故物件なのだ。
売れそうだという話は、何度も流れた。
ババ抜きのババは、いつまでも私の手の中に残るのだ。
実家の画像は出せないが・・・
これも余談になるが、サムネやアイキャッチに使っている
↓この画像。
これはフリー素材サイトで見つけた、事故物件風の家の画像で、私の実家ではない。
今の御時世、Googleストリートビューで家の画像を見ることができる。事故物件の実家の画像も、ストリートビューで感嘆に見ることができる。
そのため、実際の実家の画像を使うと「ここがあの、事故物件か」と特定されてしまう可能性もある。そうなると、ただでさえ売れない実家が、ますます売れなくなりそうだから、
「一番、実家にそっくりなフリー素材」
を使っている。
ただ、実家の本物の画像は、こんな生易しいものではない。
仲介を依頼している地元の不動産会社が撮影した、直近の実家の画像が手元にあるが、このフリー素材の何倍もおどろおどろしい画像だ。
個人情報的にも出せないが、それ以上に、あまりの「おどろおどろしさ」ゆえにも出せないのである。
・・・⑤につづく(現在執筆中)
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【ほん怖】事故物件実家 その1伯母よ、お前は地面師か
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【ほん怖】事故物件実家