10代の子どもの反抗期という、困難な時期を乗り越えるためのヒントが詰まった本の紹介。
単に反抗的な態度を抑えるだけではない。
子どもの自己肯定感を育むことの重要性や、親が子どもを一人の人間として尊重する事の必要性、対話を通じて良好な親子関係を築くことの大切さなどを解説する本を集めた。
親もつらいけど、子どもだってつらいのだ。
専門家のアドバイスや解決策を知って、反抗期を乗り切りたい。
「言うことをきかなくなってきた子」の育て方
これは直近で読んだ本。
最初は、
「本当におすすめ」
と思った。
しかし、この本にあったことを実行すればするほど、親の私のストレスは増える一方。
人によっては「役に立つ本」だけど、人によっては「実行は困難」。
ケースバイケース。
「親には本当に、感謝しかない」
という大人なら、書いてあることもすんなり理解できるし実行もできる。
「この本に書いてあることなんて、親にしてもらってない」
と感じる人には、実行しづらいかも(私も・・・)。
著者いわく、子どもが反抗するのは、心の中にある貯金=「ココロ貯金」が目減りするから。
まずは「ガミガミ、クドクド、ネチネチ」言うお説教をやめる。
声かけや、子どもへの接し方を変えて、ココロ貯金を満たすことで、反抗期の子どもの態度も変わる・・・と書いてあるけど、難しい。
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読書日記|「言うことをきかなくなってきた子」の育て方を読んで
同じ著者の本で、続編とも言えるのが「「ママのココロ貯金」のすすめ 」。
そもそもママの心に貯金がないと、子どもの「ココロ貯金」を満たすことはできないという意見を受けた著者が、「ママのココロ貯金をためるにはどうしたらいい?」のとう観点から書いた本。
「そうそう!それが知りたかったんだよ」と早速読み始めた(これもKindle Unlimitedで読める)ものの・・・・なぜか、途中で止まってしまう。
「そういうことじゃない・・・」感がぬぐえない。
「ママも自分を褒めよう」などのノウハウは一応あるが、話は段々「子どものココロ貯金をどうやって貯めるか」や「子どもの自己肯定感をどうやって高めるか」になっていく。
やはり読んでいくうちに「私は親にしてもらってない」という負の感情が持ち上がる。
もっと「ママのココロ貯金」に重点を置いてほしかった。
「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない
「ビリギャル」で一躍有名になった塾講師・坪田信貴さんの本。
反抗期、思春期というより、もう少し幼い子どもに関する本ではあるが、読んで損はない。
アメリカでの留学経験もある著者が、グローバル化する時代の世界標準の子育てと、日本に古くからある道徳観の「ズレ」を指摘している。
良かれと思って多くのまちがった「声かけ」をしてしまった事に気付かされる。
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坪田信貴『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』を読んで
伊藤徳馬「子どもも自分もラクになる「どならない練習」」
子どもに対して「どなる」ことが日常化している親に向けた本。
著者は民間企業を経て、2004年に茅ヶ崎市役所に入庁。2007年から子育て相談・児童虐待担当になり、2010年に子どもへの対応方法を練習する講座を事業化された方。
思春期の子どもではなく、もう少し小さい子どもの親が対象になっているが(3歳くらいから小学校低学年のお子さんに向けての声掛けを学ぶ本)、子どもが思春期でも「まだ怒鳴っている」という親は読んだほうがいい。
「だって、どならないと何もやらないんだもの」
と私も思っていた。
そうではない。どならなくてもいい方法がある。
言い方を変える。ことばの選び方を変える。
長いお説教、「〇〇できなかったら、〇〇禁止ね」などの「罰」をやめる。
どなり続けても子どもはかわらない。それどころか、どなればどなるほど、悪い方向に事態は進展していく。
親が変わらなくてはダメなんだという本。
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読書日記|子どもも自分もラクになる「どならない練習」の感想
フランシス・ジェンセン「10代の脳」
まだ読み始めたところなので、なんとも言えないが、これはかなりおすすめかも。
著者自身が精神科の医師であり、小児神経学部門で子どもの脳の発達について研究しており(それもハーバード大の)、同時に離婚して二人の男の子を育てるシングルマザーでもある。
著者は、わが子の反抗期に直面した時、これまで10代の脳がほとんど研究されていなかったとう事実を知ることとなる。しかも世の中には間違った「10代の脳」に関する誤解が蔓延していることにも気づく。
「本書では、10代の脳が大いに優れていながら脆弱でもある理由を明かしていきたい」
という、まさに親にとっては重要な、反抗期の「知りたかったこと」がわかる本。
ただし、ハーバードレベルの話なので、高卒のワタシにはなかなか難解で、理解するのに苦労する。
島村華子「自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」
「モンテッソーリ教育」の視点で書かれた、子どもへの接し方の本。
著者はカナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、 オックスフォード大学にて児童発達学の修士、博士課程修了した方。
対象は3歳 〜 12歳 の子どもなので、正直、
「もう遅かった・・・・」
と思う部分も沢山ある。
「罰を与える叱り方」というのがいかに良くないか、書いてある。今さら遅い・・・と思いつつ、これまで散々こどもに対して言ってきた、
「〇〇できなかったら、△△無しね」
という「罰を与える叱り方」。宿題1時間で終わらなかったらおやつ無しとか、テスト平均点以下だったら塾辞めてもらうとか・・・・今からでもやめないとな、と反省。
子どもがすでに12歳以上だとしても、読むべき本。
黒川伊保子「思春期のトリセツ」
「トリセツシリーズ」でおなじみの黒川伊保子さんの「思春期のトリセツ」は、かなりためになる。
例えば「主語なしNO」の危険性。
主語を言わずに否定するのは、日本語の特製らしい。
これを、子どもが10代になったら辞めるべきだと言う。
子どもに対して言い方を間違うと、親は「目の上のたんこぶ」に。
上手く言えたら「人生の師」になれると言う。
子どもが幼児の時は「待ったなしの否定」が必要だった。「ダメ!」「危ない!」と、早く伝えないと、子どもが危険に遭遇してしまう。
その癖が「子どもとの会話」の基本になってしまって、10代になった子どもとの会話でも「待ったなしの否定」を使ってしまう。
これはすぐに改めるべきだという話は、とても参考になる。
私自身、夜遅くに子どもが「ちょっとコンビニ行ってくる」と出かけようとするのに対して、理由も聞かずに「ダメ!こんな時間にダメに決まってるでしょ」と待ったなしの否定をしていたと気づく。
「どうして?何買いに行くの?」と理由くらい聞いてもよかったのかも。理由が「お腹へったから」とか「ジュース飲みたいから」などという、親にとっては「認められない理由」だとしても、「わかるよ」と理解を示し、「でも、もうすぐ11時だよ、ダメだよ」と言うくらいの会話の余裕というか、懐の深さが求められるのだった。
本を読むと「なるほど」とわかるけど、いざまた別の「突飛な行動」や「的外れの言動」にぶつかると、「ダメに決まってるでしょ!」と「待ったなしの否定」を繰り返しそうなので、親の自分が重々「そういう態度じゃダメなんだ」ということを、自分自身にい活かせる必要がある。
子どもに対してお説教するのは、親の態度をまず改めてからだと気付かされる。
佐々木 圭一「伝え方が9割」
反抗期や子育てとは関係ない本。
もっと全般的に「どうやってこちらの気持ちを、相手に伝えるか」に関する本。
著者は博報堂でコピーライターとして活躍し、世界的な広告の賞も多数受賞。心を動かし、人を動かすことをライフワークにされている方。
「ノーをイエスに変える」伝え方とは?
言い方を少し変えたり、一言付け足したりするだけで、相手の反応が変わってくる。
ファストフード店に入って、フィッシュバーガーを注文したら時間がかかると言われた。じゃあ店を出ようかなと思った時に、
「できたてをご用意いたします。4分ほどお待ちいただけますか?」
と言われた。「できたて」という言葉を聞いて、多少待つことにした。
これが、
「4分ほどお待ちいただけますか?」
だけだったら、断って店を出ただろう・・・などのエピソードがとても参考になる。
相手が大人だろうと、子どもだろと、言い方次第で「伝わり方」も変わる。
反抗期で何を言っても「でも」「だって」と反抗していくる子どもにも、言い方を変えることで伝わることもある。
大嶋信頼「無意識さん、催眠を教えて」
催眠術の本。
著者は心理カウンセラーの大嶋信頼さん。
私は、言うことを聞かない反抗期の我が子を「催眠術」すら使って、言うことを聞かせたいと思ったのだ(笑)。
しかしこの本、催眠術と言っても、かつての、
「あなたはだんだん眠くな~る、眠くな~る」
などの、暗示や誘導のようなもので相手を操るものではない。
相手の呼吸に、自分の呼吸を合わせる「呼吸合わせ」。
相手の「スクリプト(物語)」を書く。
「イエスセット」で相手に「イエス」を3回言わせる。
・・・などの、不思議な手法。練習してみたけど、当然、そう簡単に催眠術を使えるようにはなりません。
人は何かを言われると、
「そんなことは言われなくてもわかっている」
という「意識的な抵抗」の影響で、「わかっているけど、それができない」という堂々巡りを繰り返してしまう、と本にある。
催眠術で相手を動かす前に、「意識的な抵抗」を取り除く作業も必要になる。
それは言葉がけとか、暗示をつかって取り除けるものではない。
体得できたら、反抗期の子どもへの対処にもすごく有効だと思うが、おいそれと体得できるものではないのが難点。
ただこの本を読んで、著者の大嶋信頼さんに興味を持った。
催眠術以外の本も沢山書かれている方で、「嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法」とか、「「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法 」なども読んだ。
そしてわかったことは、
「反抗されたり、言い返えされたりするのは、私が心の中で『反抗されるだろう』『言い返されて、理解してくれないだろう』と、思ってしまっているから」
ということ。
脳内の気持ちや、態度は、相手にもミラーニューロンの効果で伝わっていく。
子が反抗的なのは「反抗的だ」と最初から決めてかかっている親側のせいなのかもと思った。